文 林 通 信

La première qualité du style, c'est la clarté. Aristote

ある朝のしずけさ

ねぎと生姜の炒めたものに、豆乳をそそぎ、あたため、

 

わたしはちいさなキウイを、刃(は)がギザギザになっている小型ナイフで

 

半分に切り、青い柄(え)のついた大きなスプーンで

 

すくってたべる

 

まん中下の軸にひっかかる  スプーンですくえない果実の中央

 

わたし自身のいるところ

 

まるパンを、ちぎって口に運ぶ

 

そのまえに、豆乳のスープにひたして、やわくする

 

ヨーロッパの冬はさびしい

 

こごえる木々 ふるえる枝葉

 

あなたはいつでも、そこにいたのに

 

屋根の上はしんみりとしずんでいる

 

朝のしずけさの中に

 

かろうじて、浅い呼吸をしながら