ずた袋 と つれづれ詩
独身でも既婚でも子どもがいても、仕事があってもなくても、
うつくしいものを否定する人が、いま必要だ。そうでなれけば私たちは本当にたいせつなものをいつかすべて失っ
時間という概念の持つなにかに
世界中の人が追われ、また同時に魅了されている
簡単に流れ失われる時間の流れに対抗するように、何人にも犯されず
「豪奢である」とは、何か
Musée Jacquemart-André その2
石像や絵画、そして階段までもが、言葉を発せずに、なにかを語りかけてくる。エッケ・ホモ、この人を見よ、なのか、あるいはメメント・モリ、死を想え、なのか分からないが、なにかしらの神秘的な圧力というか、威力を感じる。
そして猟奇的にも思えるような、螺旋とうねりばかりの廊下に室内。曲がりくねっただれかの精神構造のなかに迷い込んでしまったみたいだ。上へ昇り下を覗き、下に降だり上を垣間見る。視線も思考も上下左右と並々ならずに反転され、わたしはもはや建築物のなかのひとつの動く色のつけられた像になってしまったみたいだ。
生きるものと生きていないもの、またかつて生きていたものとの間で、わたしたちは戸惑い、巡り巡るようにして流れに従うしかない。こんな室内を好んだ家の持ち主の精神は、おそらく手のつけられないほどおかしなものであろう。良くも悪くも。
Musée Jacquemart-André その1
もとはジャックマールアンドレとかいう資産家かなにかの個人邸宅で、かれはイタリア宗教画のコレクターだったとか。
詳しくは知らないが、その実にみごとな建築様式および室内様式にはぐうの音もでなかった。
つづく
シャオチンの場合
プルタルコスの森
Les buveurs, après avoir étanché leur soif, s’amusent à regarder les ciselures qui ornent le bas des coupes et les retournent à dessein. De même, lorsque notre apprenti sera repu d’idées philosophiques, il pourra reprendre haleine : on lui permettra alors de s’attacher à l’élégance et aux qualités intrinsèques de la langue.
p.43-44 Comment écouter, Plutarque, Rivages poche
「酒呑みはのどの渇きをいやしたあと、グラスの底を飾る彫金細工を眺めたり、わざとそれをひっくり返したりして愉しむ。おなじように、われらの弟子は哲学的な思想をたっぷりと堪能すると、それからひと息つく時間をもうけることだろう。こうして彼は、言語のもつエレガンスや、言語の本質的な良質さにこだわるようになっていくのであろう。」
プルタルコス『いかにして聴くか』
なんとうつくしい文章、おもしろみのある奥深い比喩でしょう。プルタルコスの洗練された比喩が大好きで、気がついたらページを次へ次へとめくっています。辞書を片手に、すこしずつ読んでいく次第ですが、なににも増して、たのしい作業です。
かれはたとえば、傾けられたグラスからこぼれ落ちる水を例に、いかにして他者のディスクールをみずからに上手く取り入れるかについて語ります。哲学者は決して堅苦しい古びた石像などではなく、いまの私たちの中に生きる、小さく賢明な炎の源泉のようなものなのです。