Musée Jacquemart-André その2
石像や絵画、そして階段までもが、言葉を発せずに、なにかを語りかけてくる。エッケ・ホモ、この人を見よ、なのか、あるいはメメント・モリ、死を想え、なのか分からないが、なにかしらの神秘的な圧力というか、威力を感じる。
そして猟奇的にも思えるような、螺旋とうねりばかりの廊下に室内。曲がりくねっただれかの精神構造のなかに迷い込んでしまったみたいだ。上へ昇り下を覗き、下に降だり上を垣間見る。視線も思考も上下左右と並々ならずに反転され、わたしはもはや建築物のなかのひとつの動く色のつけられた像になってしまったみたいだ。
生きるものと生きていないもの、またかつて生きていたものとの間で、わたしたちは戸惑い、巡り巡るようにして流れに従うしかない。こんな室内を好んだ家の持ち主の精神は、おそらく手のつけられないほどおかしなものであろう。良くも悪くも。