プルタルコスの森
Les buveurs, après avoir étanché leur soif, s’amusent à regarder les ciselures qui ornent le bas des coupes et les retournent à dessein. De même, lorsque notre apprenti sera repu d’idées philosophiques, il pourra reprendre haleine : on lui permettra alors de s’attacher à l’élégance et aux qualités intrinsèques de la langue.
p.43-44 Comment écouter, Plutarque, Rivages poche
「酒呑みはのどの渇きをいやしたあと、グラスの底を飾る彫金細工を眺めたり、わざとそれをひっくり返したりして愉しむ。おなじように、われらの弟子は哲学的な思想をたっぷりと堪能すると、それからひと息つく時間をもうけることだろう。こうして彼は、言語のもつエレガンスや、言語の本質的な良質さにこだわるようになっていくのであろう。」
プルタルコス『いかにして聴くか』
なんとうつくしい文章、おもしろみのある奥深い比喩でしょう。プルタルコスの洗練された比喩が大好きで、気がついたらページを次へ次へとめくっています。辞書を片手に、すこしずつ読んでいく次第ですが、なににも増して、たのしい作業です。
かれはたとえば、傾けられたグラスからこぼれ落ちる水を例に、いかにして他者のディスクールをみずからに上手く取り入れるかについて語ります。哲学者は決して堅苦しい古びた石像などではなく、いまの私たちの中に生きる、小さく賢明な炎の源泉のようなものなのです。