文 林 通 信

La première qualité du style, c'est la clarté. Aristote

「レバノン 現実とフィクション」展

アラブ世界研究所「レバノン 現実とフィクション」展

« Liban Réalités & Fictions » à Institut du Monde Arabe

 

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レバノンで生きる女性たち : 消せない戦争の傷跡と現在
レバノンの内戦はかれらの心に深い痕跡を残し、かれらの「今/現実/現在」はその大きなトラウマのなかで構成されることを余儀なくさせられる程である。しかしだからこそ一方で、かれらはレバノンの「外/他」の夢をみる。もっと別の国、ちがう場所に逃れたいという強い欲望、あるいはどこか夢見心地な「休息の地」への志向やあこがれ...。かれらにとっての「リアリティーとフィクション」は一枚のアラブの赤いタペストリーのように織り重なり、かれら自身の存在を、未来への眼なざしを日々作り上げている。
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展示の様子
 
・写真家たちのうつした写真は「奇妙なもの、奇抜なもの」と「彼ら自身の文化」の交差、融合
 
レバノンの内戦(1975-1990)は、アーティストたちの作品に大きな影響を与えた
 
・「戦争」と「緊張」をつねに強いられているレバノンの人びと。そこで生きる女性たち
 
・攻撃され放置され、そのまま朽ち果てた白壁。それを無限に撮りつづけるひとりの写真家の眼なざしの中には、「亡命への欲望」が絶えず表れている。閉塞的で逃げ場がなく、人びとの思考を外に向けられなくする、分厚く色のはげた灰色の壁
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・かと思えば、レバノンの都心の無秩序の魅惑。モダンで近代的な巨大ビルが、これまで見たことないくらいにひしめき合い、群をなして建っている。硬質な壁、口を閉ざした無数の窓。もの言わぬ人びとの憂鬱でかたくなな表情。それらの風景を俯瞰したときにおこる、わたしたちの眩まい。
 
・隣接するキッチュなビルディングの異様さ
 
経験されたカタストロフィーを創作の源として活動するアーティストたち、かれらの中にあるつよい失意、欠如、喪失、そこから脱却しようともがき、表現することで実る数々の作品。
カタストロフィーを経験することはもちろん恐怖であり、できることなら通りたくない道だけれど、カタストロフィーを通過しないことでもたらされる奇妙な不安感、平凡な日常をむしばむ不穏の正体とは一体なんだろう?誤解をおそれず言えば、かれらの生き方、在り方につよい輝きを見出してしまうのはなぜ?
 
経験されたカタストロフィーはひとつの「アイデンティティになりうるのか?
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休息の地へのあこがれ
« Liban Réalités & Fictions » à Institut du Monde Arabe : l’expo magnifique par de jeunes photographes libanais. Les compositions qui maîtrisent la lumière et l’obscurité permettent de se rendre compte de leur histoire politique, culturelle et quotidienne du pays en pleine d’étonnement et insécurité, et à la fois de faire le dialogue de sensibilité entre eux et nous.